【コラムその7】外断熱とは~その歴史と役割

その7

わが国の住宅の省エネルギーというと住宅そのものの省エネルギー策は殆どなく、太陽電池の使用、効率性の良い電気製品の導入などが語られる。ドイツでは住宅そのものの省エネルギー化が図られ住宅の年間エネルギー消費量をわかるようにしたエネルギーパスを作成し、住宅の新築、改築に際してはこれを発注者に渡さねばならない仕組みがこのエネルギーパスである。賃貸住宅でもオーナーは賃貸に際して提示することが義務付けられている。

こうしたことは省エネ化、住宅の高付加価値を求めるには外断熱の普及がこれからの時代の課題解決に如何に役立っているかを更に知ってもらうことが重要である。例えば我が国のエネルギー消費量は欧米に比して多いわけではないが、それは暖房で例えれば一室一室の暖房機だからである。そしてこれは部屋の温度差を生じさせヒートショックを招く危険性と隣り合っているのだ。外断熱は今更言うまでもないことだが、建物そのものがコートを羽織ったようなもの、外気温の影響を受けないので一度温める、冷やすで躯体の蓄熱性が活き、その効果は持続し、部屋間の温度差も生じないのである。

欧米諸国がこうした取り組みを進めているのにわが国では未だに内断熱工法が大半である。

住生活基本法は5年ごとに見直すこととなっている。2015年5月27日付の日経新聞の社説では「住宅政策の重点を新規物件の建設から、既存住宅の流通へとしっかり移すべきだろう」とし、「しっかり補修した住宅は取引価格が上がるようにしたい」「新築物件を過度に優遇するのは時代に合わない。リフォーム投資を促し何世代にもわたって一つの住宅で暮らすことができる社会に変えたい」とある。わが協会でもマンションの外断熱改修も積極的に取り組んでいく。