現在、日本では多くの建物が内断熱です。躯体の内側に断熱材を貼るという、外断熱とは逆の建築が大部分を占めています。内断熱は、床と壁の接触面部分で断熱材効果の切れ目が出来やすく、そこから熱橋といわれる「熱の逃げ道」が出来ます。結果、部屋間の温度差が大きくなり、建物全体に温度ムラが発生。部屋毎に暖房をする事が多い日本ではリビングや寝室、それ以外の居住空間で大きな温度差が生じ、温かい寝室から夜間トイレに行く場合は急激に体の周囲の温度が下がるため、その刺激で末梢神経が収縮。血圧が急に上がり脳溢血や心筋梗塞で死亡することが報告されています。(これをヒートショック現象といいます)部屋間の温度ムラは、外断熱建物では避けることができます。(参考文献:「これからの外断熱住宅」田中辰明・柚本玲 著より)
交通事故は種々の政策により年々死亡者が減少し、年間約5000人以上と報道される一方、このヒートショック現象を起こし亡くなる人は浴室内の事故のみで7000人以上、心臓麻痺なども含めると実際は10000人を超えると言われています。
急激な温度変化により身体が受ける悪影響実験でも証明され、部屋の温度と健康との関連性は明白であるといえるでしょう。
もう一つ、大きな問題がシックハウス症候群です。外の気温が下がると、窓に水滴が付く「結露」ができます。これは目に見える場所だけでなく、壁の内部や天井にも発生します。結露した水分をそのまま放置すると、空気中に漂うカビの温床となり増殖。それらがダニのエサになり大量発生、という悪循環を引き起こします。また、カビの胞子・ダニの死骸や糞(ハウスダスト)を吸い込むことで、アレルギー性鼻炎や喘息など、呼吸器系の疾患を引き起こす原因ともなります。これらはシックハウス症候群と呼ばれ、患者の約7割がカビの胞子・ダニの死骸・糞(ハウスダスト)が原因といわれています。
外断熱工法なら、建物が外気温の影響を受けにくく、各室温の温度差は安定、一年を通して結露が生じる事も無いため、ヒートショック現象・シックハウス症候群の両方に非常に効果的であるといえます。