A1:日本経済新聞(2008年4月23日付け夕刊から5月3日付け夕刊)に「ニュータウンの肖像」というタイトルで大阪府・千里ニュータウンを例に、かつて夢の住処であったニュータウンが今やオールドタウンとなってしまった現状が報じられていました。何とかしなければという住民の意識や様々な面からの取り組みなどが紹介されていました。千里ニュータウン以外にも愛知県・高蔵寺ニュータウンや東京都・多摩ニュータウンもあり、恐らく事情や実態は同じでしょう。 国は、これからの住居は200年寿命を目指すと掲げたようですが、その前に、今住んでいるマンションの居住環境改善が急務です。
当NPOでは、既存建物の有効利用という観点から「住みながら外断熱改修」を進めています。外断熱は決して新築だけに価値ある工法ではありません。外断熱改修事例でも紹介されていますが、住みながら外断熱に改修した「和歌山県・高野町凌雲団地」の例をご紹介しましょう。
この団地は1975年から79年にかけて7棟建てられました。竣工間もない頃から住民からは室内の結露やカビの苦情が絶えませんでした。竣工後たった20年ですが、凍害でコンクリートはボロボロ、欠落した鉄筋には錆がでる始末でした。2002年から7棟すべてを外断熱に改修しました。改修は大成功、外観も新築のように生まれ変わりました。
改修は、階段ホールも含めて全ての外壁に発泡系断熱材(40㎜)を貼りその上に外装工事がされました(湿式外断熱工法と言います)。改修では床の断熱までは困難ですが「結露が止まった、暖かくなった」と好評でした。建物の外側に断熱材を施工して仕上げるということは、ちょうど建物に新品の服を着せ替えるのと同じことで工事後は新築同様の外観になります。内断熱に比べると住宅性能は格段に良くなりました。この成功事例は評判になり多くの自治体が見学に訪れています。この改修は「既存の建造物を活用して無駄にしない」という意味で大きな意義があります。
現在では、国土交通省の補助制度(長期優良住宅化リフォーム推進事業)により、既存経年マンションの大規模修繕工事で、外断熱改修工事を含む省エネ工事を実施する場合、改修工事費の3分の1まで補助金でまかなえる制度ができており、今後の補助金活用が望まれています。
(注)旧建築基準法で建てられたマンションで、耐震性能が不足している場合は、国土交通省の長期優良住宅化リフォーム推進事業補助制度は使えません。まず耐震工事を実施する必要があります。