その2
1999年8月に外断熱に理解ある議員を通じて「マンションの外断熱に関する質問主意書」を内閣に提出した。その内容は
① 断熱と外断熱を比較して結露を起こしやすいのはどちらか、
② 同比較して、省エネルギーに有効なのはどちらか、
③ 同比較して躯体のコンクリートが長持ちするのはどちらか、
④ ドイツとスウエーデンのコンクリートの建物が石油ショック以降、ほとんどすべてが外断熱となっているのはいかなる理由によると承知しているか、というものであった。
9月に内閣総理大臣名で答弁書が来たが、①については「施工の方法、湿度等の実験により内断熱と外断熱の結露の起こしやすさは異なるためどちらが結露を起こしやすいかを一概に断定することは困難」②については「内断熱とするか外断熱にするかにより暖冷房の現れ方は異なるがどちらが効果が高いかを一概に断定することは困難、一般的には熱橋による熱伝導の影響を低減する上では外断熱は有効な面があると認識」③については「鉄筋コンクリート造の住宅の躯体は湿度変化、雨水等の影響により経年的に劣化するものでどちらが劣化しにくいかを一概に断定することは困難。なお一般的には外気の温度の影響に対して躯体の膨張、収縮や水分の凍結による亀裂の発生を低減する上では外断熱が有効の面があると認識」④については「北欧においては寒冷な気候のため短時間の暖房を行うことが一般的ではないこと、外断熱の施工技術が既に定着していると聞いている」というものであった。
あまりに内容のない答弁書であったため、11月に再度質問主意書を提出、12月に答弁書が来たが「両者の外壁の熱損失量は概ね5~17%内断熱の方が大きいと認識、外気温の影響を受けにくいことから外断熱の方が躯体の劣化はしにくいものと認識」というものであった。
その年の11月に札幌へ行き、前掲書の著者である江本氏の案内で建設中の外断熱マンションを訪れた。
息を吐くと白い息になるほどの気温ではあったが、八割方完成しているマンションの部屋へ入ると石油ストーブ1個がリビングに置かれていて4LDKの各部屋を見て回ったがいずれの部屋も全く寒さを感じることはなく、快適でこれが外断熱の効果かと感じさせられた。外断熱はコンクリート躯体に断熱材を外から施す工法であること、外断熱によって躯体の長寿命化が図られること、そのために水回りや配線等のメンテナンス、交換がしやすいように床下にこうしたものを収納する工夫を凝らしていること、外断熱には乾式、湿式という異なる工法があること、開口部や熱橋処理の重要性などもこの現場で学んだ。