その3
2001年、外断熱の普及を図ろうと企業、設計士らのメンバーが何度も集まり、検討を始めた。そしてそのための運動体としての組織を作ろうという機運が高まってきた。その一環として2002年9月に「第一回スウエーデン・ドイツ建築物理と外断熱の旅」という視察を実施することとなった。各建設会社、断熱材メーカー、設計士など二十名を超えるメンバーが集まった。
一週間の旅程だったが、先ず訪れたのはスウエーデンルンド市のルンド大学の建築物理学部でエルムート博士から断熱、湿気について、ヨハンソン博士から空調の事などを伺った。マルメ市の外断熱の現場、外断熱マンション宅の訪問、こうしたことを通して外断熱の現場を体感、実感することが出来た。
理論、理念は理解していても当時の日本には外断熱建築は殆ど皆無の状態だっただけにこうした体験は貴重なものだった。ストックホルムでは住宅博の見学、ストックホルム都市計画局からのレクチャーと建設現場の視察を行い、その後ミュンヘンへ移動し、ホルツキルヘンの水蒸気研究所、現地滞在の建築家上田氏からドイツにおける外断熱の最新事情のレクチャー、建築現場視察、シュットトガルトのフランフォーファー建築物理研究所でのエルホルン教授からの建築物理学に関するレクチャーなどが主たる行動で、ドイツからは鮫島衆院議員も参加された。その後数時に亘るこうした視察団の派遣を行ったがこの第一回がその後の視察の原型となったと言える。