事例3:花見川住宅

花見川住宅は5階建てを中心とする163棟、5,742戸によって構成される巨大な団地で、分譲住宅と賃貸住宅に分かれています。1968年に建設され、既に50年以上経過していますが、今回の大規模修繕工事は、分譲住宅の40棟1,530戸が対象となっています。全体を11工区に分け、2021年から2024年までの4年間で大規模修繕工事を施工しています。

国土交通省の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の補助金を受ける事により、躯体の長寿命化及び住戸室内の居住環境の大幅な改善が可能な外断熱化工事を実施できることが決め手となり、大規模修繕工事を検討してから短期間で外断熱工事の実施が管理組合で承認されました。

全戸が旧耐震基準で建設された団地のため、新耐震基準を満たしているか否かのインスペクション(調査)の結果、雁行配置の2棟のみが耐震補強工事が必要で、他の階段室型の38棟についての耐震補強工事は必要なしとの調査結果により2棟のみ耐震工事を先行して施工しています。

外断熱改修工事は、国土交通省の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の補助金を受けられるための “断熱等性能等級3”を満たすため、外壁の東・西妻壁側と北側壁面及び南側1階の一部に厚さ60mmのポリスチレンフォーム(EPS)を貼る「湿式工法」で施工しています。

外断熱改修後の住民からは、「夏・冬共に部屋のエアコンをかける回数が減った」、「冬は外から帰ってきて部屋に入ると暖かく感じるし、夏は涼しく感じる。夏の朝に部屋の温度を25℃にしてエアコンを切り、4時間後に帰ってきて室内温度をはかると27℃で、2℃しか室温が上がっていなかった」(3階西妻側住戸の住民)との声が寄せられています。


<花見川団地  大規模修繕工事概要>

・所 在 地:千葉県千葉市花見川区花見川

・規  模  :地上5階建、全40棟、総戸数1,530戸(旧耐震基準で建設)

・完  成 :1968年(日本住宅公団の分譲)

・大規模修繕工事発注者:花見川住宅管理組合

・設計・施工:鹿島建物総合管理(株)

・外断熱関係設計・監理:髙屋設計環境デザインルーム(当NPOの正会員)

・耐震工事設計・監理:T.D.S

・工  期  :2021年4月 ~ 2024年1月

・改修内容  :耐震補強工事(雁行配置の2棟)、外断熱改修工事ほか(築56年目の改修工事)

<工事金額及び補助金関係の概要>

・大規模修繕工事費(全体)    3,030百万円 (1,980千円/戸)

 うち、外断熱改修工事費     960百万円    (627千円/戸)

 うち、耐震工事費              350百万円 

・補助金支給額                  822百万円   (537千円/戸)

・管理組合負担額               2,208百万円 (1,443千円/戸)

※ 花見川団地の外断熱改修関係の雑誌記事等をご希望の方は、メール下さい。(メールアドレス: info@sotodan-jaei.org )

※ 花見川住宅・外断熱改修工事の写真提供:(株)高屋設計環境デザインルーム

 

改修工事後の外観 – 1           改修工事後の外観 – 2

改修工事後の外観 – 3

 

断熱改修後とカラーリング見本

   

見学会 ガイダンス風景          見学会 外部での説明風景

見学会 断熱材説明

大規模修繕工事施工中

窓廻り施工中

左官工事中

 

◆事例その3【参考資料】:花見川住宅【夏】外断熱改修前と後の 室内温度

◆事例その3【参考資料】:花見川住宅【冬】外断熱改修前と後の室内温度